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LINEミニアプリの会員証と、サービスメッセージという通知経路

会員証をLINEミニアプリで持ち、認証審査を通すと、ブロックされない通知経路が1本できます。媒体資料によれば、サービスメッセージは送信が無料で、送信されるアカウントはブロックできません。ただしこの機能は「認証済ミニアプリ限定」で、未認証ミニアプリでは使えません(同資料p28/p54)。そしてこの経路は、資料に販促の用例が挙がっていません。資料は用途を「ユーザーの操作に対する確認や応答」と定め、通数も「1アクションにつき最大5通」と注記しています。(この切り分けは、資料の記述から私たちが導いたものです)

出典:LINEヤフー株式会社「LINEミニアプリ 媒体資料」(2026年4月14日更新版・全62ページ/2026年8月24日にPDFを取得)。同資料に金額の記載はないため、本稿に金額は出てきません。

紙のスタンプカードやプラスチックの会員証をLINEに移す、という相談をいただくことがあります。目的として挙がることが多いのは「持ち歩いてもらえること」です。それは自然な理由で、実際に満たせます。加えて、あとから効いてくるものが別にあります。

会員証をLINEミニアプリにすると、通知の経路が1本増えます。課金される配信の説明には出てこない性質を持つ経路です。

LINEミニアプリの会員証とは、何か

LINEミニアプリの会員証とは、LINEのユーザーIDを識別子として発行する、アプリのインストールを要さないデジタル会員証です。媒体資料は、こう書いています。

LINEのユーザーIDを識別子として利用することで、QRコードを読み込んでもらうだけで簡単に会員証やポイントカードの発行を行うことができます。面倒な会員登録やアプリインストールが一切不要なため、店舗側にとって接客の効率化はもちろん、これまで会員登録していなかった層への会員化促進効果も期待できます。

── LINEヤフー株式会社「LINEミニアプリ 媒体資料」2026年4月14日更新版・p12(2026年8月24日取得)

資料が挙げている効果は「会員化促進」です。同じページには注記もあります ──「LINEアカウントと紐づいた行動データの取得・活用にはユーザーの許諾が必須となります」。

アプリを入れてもらう前提だと、どこで止まるのか。同じ資料は委託調査を載せています ──「お店でアプリのダウンロードをお願いされた時、約7割のユーザーが断った経験があると回答しました」(同資料p8。調査委託先マクロミル、回答者はスマートフォン利用者かつLINEアプリ利用者、総サンプル数n=1,488、調査期間2024年8月5日〜8月7日)。LINEヤフーが自社の資料に載せた調査であることは、読むときの前提になります。

会員証は、資料が挙げる利用シーンにも入っています。小売の欄に「会員証」「スタンプカード」「オンラインショッピング」「販促キャンペーン」が並んでいます(同資料p4)。なお、この「販促キャンペーン」はLINEミニアプリ全体の利用シーンとして挙げられているもので、後述するサービスメッセージの用例として挙げられているわけではありません(同資料p4/p13)。

増える通知経路は、ほかの配信とどこが違うのか

ここが、会員証をLINEミニアプリに置いたときに効く部分です。

LINEミニアプリ上でのユーザーの操作に対する確認や応答として、ユーザーが知っておくべき情報をLINEミニアプリから通知※1する機能です。メッセージ送信に費用はかかりません。また、サービスメッセージが送信されるアカウントはブロックできません。
認証済ミニアプリ限定
※1 ユーザの1アクションにつき最大5通まで(有効期限1年間)サービスメッセージを送信できます。

── LINEヤフー株式会社「LINEミニアプリ 媒体資料」2026年4月14日更新版・p28「サービスメッセージ」(2026年8月24日取得)

3つのことが書かれています。送信は無料であること、送信されるアカウントはブロックできないこと、そして認証済ミニアプリ限定であること。加えて注記に、通数の上限があります。

別のページでは、この性質を「確実にお届けできます」という言い方で説明しています ──「サービスメッセージはブロックされない仕組みのため、重要な通知を確実にお届けできます(無料)」(同資料p45)。

なお、この通知が届く先は自社のLINE公式アカウントのトークではありません。資料は機能一覧で「特定の操作に対して、『LINEミニアプリ お知らせ』から無料でメッセージを送信できます」と書いています(同資料p25)。p21も「『LINEミニアプリ お知らせ』から無料でメッセージ送信」を認証済ミニアプリ限定の機能として挙げています。事業者のLINE公式アカウントそのものがブロックできなくなる、という話ではありません。(ブロックできないアカウントがこの送信元を指すという読み方は、私たちの整理です。資料に両者を結ぶ記述はありません。)

この経路は、販促の枠として数えられるのか

ここが要点です。ブロックできない経路と聞くと、届かなくなっていた層に届く枠が増えた、と読みたくなります。その読み方は自然です。ブロック率は管理画面で見える数字で、届かない相手がいることは日々の運用で分かっているからです。

ただ、資料が定めている用途は「LINEミニアプリ上でのユーザーの操作に対する確認や応答として、ユーザーが知っておくべき情報」です。起点はユーザーの操作の側にあります。こちらが送りたいタイミングで送る枠としては、この定義文には書かれていません(ただし後述のp13には前日リマインドの用例があります)。注記の「1アクションにつき最大5通まで(有効期限1年間)」も、数え方がアクション単位であることを示しています。

資料自身が、この経路の使いどころを具体例で挙げています。順番待ちについては「LINEミニアプリで順番待ちサービスを提供することで、サービスメッセージを使ってユーザーの呼び出しを行うことができます」。予約については「LINEミニアプリで来店予約の受付を行うことで、予約前日のリマインドや予約の空き状況をサービスメッセージ通知することができます」(いずれも同資料p13)。

ここは、私たちの整理に都合の悪い材料でもあるので先に出します。「予約前日のリマインド」は、ユーザーが操作した直後ではなく、こちら側のタイミングで送る通知に見えます。p28の用途定義(確認や応答)と、p13のこの用例は、資料の中で並んで存在しています。どちらか一方に絞れる書き方はされていません。そして「確認や応答」がどこまでを指すかは、申請の窓口で確認する前提になります。

なお同じp28は「多様な用途に適したテンプレート」として「100を超えるテンプレート」があるとも書いています。用途の幅は、資料の側でも一律には狭められていません。

ここからは私たちの読み方です。それでも、資料が挙げているのは呼び出し・リマインド・空き状況で、いずれも取引に紐づく連絡です。サービスメッセージの用例として、新商品やセールの告知は挙がっていません。だからこの経路は、配信の枠が増えたのではなく、取引にともなう連絡を、費用のかからない側に移せるという性質のものだと考えています。販促は、課金される配信の側に残る前提で組んでいます。

会員証を置くと経路が1本増える。ただし役割は入れ替えられない ① サービスメッセージ 認証済ミニアプリ限定(資料p28) 送信は無料 アカウントはブロックできない 用途:ユーザーの操作に対する 確認や応答として知っておくべき情報 上限:1アクションにつき最大5通 (有効期限1年間) → 起点はユーザーの操作(=私たちの読み方) ※ 資料はp13で「予約前日のリマインド」も挙げている ※「確認や応答」の判定基準は資料に記載なし ② LINE公式アカウントの配信 通数で課金される 通数は「回数 × 友だちの数」 ブロックされうる 用途:送りたい内容を、送りたい タイミングで → 起点はこちらの判断。販促はここ ①は②の代わりにならない、と私たちは読んでいる。移せるのは、取引にともなう連絡のほう
図1 会員証をLINEミニアプリに置くと通知経路が1本増えます。①サービスメッセージは無料でブロックされない一方、用途が「ユーザーの操作に対する確認や応答」と書かれ、1アクションにつき最大5通(有効期限1年間)です。ただし同じ資料のp13は「予約前日のリマインド」もサービスメッセージの用例として挙げており、どこまでが「確認や応答」かの判定基準は資料に記載がありません。②販促は課金される配信の側に残る、という役割分担は私たちの読み方です。出典:LINEヤフー株式会社「LINEミニアプリ 媒体資料」2026年4月14日更新版・p28/p13(2026年8月24日取得)、LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント 料金プラン」(2026年8月10日取得)。

なお、すでにブロックしているユーザーにサービスメッセージが届くのかどうかは、同資料に記載がありません。

課金される配信は、何で増えるのか

比較の相手側も押さえておくと、設計が決まりやすくなります。LINEヤフーの料金プランのページは、通数の数え方をこう書いています。

「メッセージを送った回数」×「送った友だちの数」を「通数」としてカウントします

── LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント 料金プラン」(2026年8月10日取得)

同ページは、課金されない配信も挙げています。LINEチャットの送受信、応答メッセージ、あいさつメッセージ、Reply APIです。つまり無料の経路は、サービスメッセージだけではありません。

経路費用ブロック資料に書かれていること
サービスメッセージ(認証済ミニアプリ限定)かからないできないユーザーの操作に対する確認や応答。1アクションにつき最大5通(有効期限1年間)
あいさつメッセージ/応答メッセージかからないできる料金プランのページで課金対象外として挙げられている
メッセージ配信(一斉・セグメント)通数で課金できる回数×友だちの数で通数を数える
Messaging API(Push/Multicast/Broadcast/Narrowcast)通数で課金できる料金プランのページが課金対象として挙げている(Reply APIは対象外)

出典:サービスメッセージの行はLINEヤフー株式会社「LINEミニアプリ 媒体資料」2026年4月14日更新版・p28(2026年8月24日取得)。ほかの行はLINEヤフー for Business「LINE公式アカウント 料金プラン」(2026年8月10日取得)。「ブロック」列のうち、サービスメッセージ以外の行は、資料に明記された記述ではなく通常の配信の扱いとして私たちが置いたものです。

通数の数え方そのものは、LINE公式アカウントの配信料金の記事に詳しく書いています。

では、会員証を置くときに何を決めるか

ここからは私たちの進め方です。3つあります。

  • いま送っている連絡を、2つに仕分ける。ユーザーの操作に続く連絡(予約確認・受け取り案内・順番待ち)と、こちらの判断で送る連絡(新商品・セール)に分けます。前者が多いほど、会員証を置く効果が出やすくなります
  • 会員証の発行を、連携が成立する場所に置く。資料は「QRコードを読み込んでもらうだけで」発行できるとしています。会員証が使えるようになる画面と、連携を求める画面を同じにします
  • サービスメッセージを、配信計画の通数に数えない。用途と上限が資料で定められているため、販促の本数としては積まない前提で組んでいます。課金される配信の計画は、別に立てる前提になります

3つめは、私たちがご相談の場でいちばん行き違うところです。無料でブロックされない経路がある、と聞いた時点で、配信計画の一部として数えたくなります。これは資料を読み違えたというより、無料と書かれた枠を先に数えるのが自然だからです。用途の記述まで一緒に見ておくと、あとで組み替える手間が減ります。

よくある質問

LINEミニアプリの会員証とは何ですか?

LINEのユーザーIDを識別子として発行する、アプリのインストールを要さないデジタル会員証です(この言い方は私たちの整理です)。媒体資料は「LINEのユーザーIDを識別子として利用することで、QRコードを読み込んでもらうだけで簡単に会員証やポイントカードの発行を行うことができます。面倒な会員登録やアプリインストールが一切不要」と書いています。なお同ページの注記は「LINEアカウントと紐づいた行動データの取得・活用にはユーザーの許諾が必須となります」としています。(出典:LINEヤフー株式会社「LINEミニアプリ 媒体資料」2026年4月14日更新版・p12、2026年8月24日取得)

サービスメッセージはブロックされないと聞きましたが、販促に使えますか?

資料が定めている用途は販促ではありません。媒体資料は「LINEミニアプリ上でのユーザーの操作に対する確認や応答として、ユーザーが知っておくべき情報をLINEミニアプリから通知する機能」と書いており、注記で「ユーザの1アクションにつき最大5通まで(有効期限1年間)」としています。送信は無料で、送信されるアカウントはブロックできない一方、起点はユーザーの操作の側にあります。私たちの整理では、この経路に移せるのは取引にともなう連絡で、販促は課金される配信の側に残ります。(出典:LINEヤフー株式会社「LINEミニアプリ 媒体資料」2026年4月14日更新版・p28、2026年8月24日取得)

会員証をLINEミニアプリにすると、配信コストは下がりますか?

下がるかどうかは、いま送っている連絡の内訳で決まります。料金プランのページは通数を「『メッセージを送った回数』×『送った友だちの数』」と定義しており、あいさつメッセージ・応答メッセージ・LINEチャットの送受信・Reply APIは課金対象外として挙げられています。ユーザーの操作に続く連絡が多いほど、無料の経路に移せる分が増えます(この判断のしかたは私たちの整理です)。販促の通数は、この移し替えでは減りません。(出典:LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント 料金プラン」2026年8月10日取得/LINEヤフー株式会社「LINEミニアプリ 媒体資料」2026年4月14日更新版・p28、2026年8月24日取得)

会員証をLINEミニアプリで作るには、認証審査が必要ですか?

サービスメッセージを使うなら必要です。媒体資料はサービスメッセージのページに「認証済ミニアプリ限定」と記載し、p54の機能比較表でも認証済ミニアプリのみ○、未認証ミニアプリとLIFFアプリは×としています。会員証そのものについては、資料は「認証済ミニアプリ限定」のラベルを付けていません(p12)。一方で、起動時のユーザーID取得は認証済み限定とされています(p22)。未認証のままで会員証がどこまで成立するかは、同資料からは確定できません(この読み方は私たちの整理です)。なお資料は「『認証済ミニアプリ』と『LINE公式アカウントの認証済アカウント』は異なるものです」とも注記しています。(出典:LINEヤフー株式会社「LINEミニアプリ 媒体資料」2026年4月14日更新版 ── p28「サービスメッセージ/認証済ミニアプリ限定」、p54「認証済ミニアプリ・未認証ミニアプリ・LIFFアプリ 機能の違い」、p12「デジタル会員証」、p22「ユーザーIDを都度の同意無しで取得可能」、p45※3「『認証済ミニアプリ』と『LINE公式アカウントの認証済アカウント』は異なるもの」。いずれも2026年8月24日取得)

出典

・LINEヤフー株式会社「LINEミニアプリ 媒体資料」(Product Guide・2026年4月14日更新版・全62ページ・発行:LINEヤフー株式会社 CBドメイン)PDFを見る ── 小売の利用シーンに会員証・スタンプカード(p4)/アプリのダウンロードを断った経験・約7割(p8。調査委託先マクロミル/回答者はスマートフォン利用者かつLINEアプリ利用者/総サンプル数n=1,488/調査期間2024年8月5〜7日)/デジタル会員証・ユーザーIDを識別子・行動データの許諾(p12)/サービスメッセージの用例=順番待ちの呼び出し・予約前日のリマインド・空き状況の通知(p13)/「LINEミニアプリ お知らせ」から無料でメッセージ送信(p21・p25)/起動時のユーザーID取得は認証済ミニアプリ限定(p22)/サービスメッセージの用途・無料・ブロック不可・1アクション最大5通・有効期限1年間・100を超えるテンプレート(p28)/ブロックされない仕組み(p45)/認証済・未認証・LIFFアプリの機能比較表=サービスメッセージは認証済のみ○(p54)/認証審査は任意・独自機能の使用には審査が必要・認証済アカウントとは別物(p45※3)/認証審査は任意・未認証ミニアプリとして公開可能・独自機能の使用には審査が必要(p45・p46)。2026年8月24日にPDFを直接ダウンロードして取得
・LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント 料金プラン」ページを見る ── 通数の数え方(回数×友だちの数)/課金対象外の配信(LINEチャットの送受信・応答メッセージ・あいさつメッセージ・Reply API)。2026年8月10日取得
※ 本稿では費用に触れていません。配信料金はLINE公式アカウントの配信料金の記事で扱っています。
サービスメッセージの「ユーザーの操作に対する確認や応答」がどこまでを指すかの判定基準は、同資料の本文には記載がありません。p28は「活用の手引き ── サービスメッセージの仕様やサービスシナリオ別のユースケースをご紹介しております」としてLINE Developersドキュメント等への参照を案内しています(リンク先は本稿では未参照)。個別の可否は申請の窓口で確認する前提になります。
資料は用途を「確認や応答」と定める一方、p13では「予約前日のリマインド」も挙げています。本稿はどちらか一方に絞らず、両方を示した上で私たちの読み方を分けて書いています。
※ 表の「ブロック」列のうち、サービスメッセージ以外の行は資料に明記された記述ではなく、通常の配信の扱いとして私たちが置いたものです。
※ 「取引にともなう連絡と販促を分ける」という切り分けは私たちの見方で、資料の区分ではありません。
※ LINE Developersの認証済ミニアプリ関連ドキュメント(verified-mini-app/service-messages)は、2026年8月16日時点で私たちの環境から参照できなかったため未参照です。

執筆者

永野 陽平

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