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LINEのID連携は、なぜ進まないのか

LINEのID連携で先に見るのは、入口の数ではなく、同意を求める位置です。入口を足しても、連携が成立する画面が列の最後にあるままなら、ユーザーが越える画面の数は変わりません。友だち追加のあとに会員登録ページへ送る形だと、連携が終わるまでにユーザーが越える画面が増えます。LINEミニアプリを使う形では、起動した時点でユーザーIDを取得できると媒体資料に書かれています。ただしこれは認証済ミニアプリ限定の機能で、かつ「同意がいらなくなる」という話ではありません。(位置の問題として整理したのは私たちの見方です)

出典:LINEヤフー株式会社「LINEミニアプリ 媒体資料」(2026年4月14日更新版・全62ページ/2026年8月24日にPDFを取得)。

「友だちは増えているのに、誰なのか分からない」というご相談をいただくことがあります。入口を増やすところから手をつけるのは、自然な順番です。友だち追加の数は管理画面で見えていて、連携の手前で何が起きているかは見えにくいからです。そのため、次の打ち手は導線の追加に向かいやすくなります。

ただ、入口を増やしても連携数が動かないことがあります。入口の数と、連携が終わるまでの手数は、別のものだからです。

LINEのID連携とは、何をしている状態か

LINEのID連携とは、LINEのユーザーIDと自社の会員IDを結びつけて、どの友だちがどの顧客かを分かる状態にすることです。この結びつきが無いと、友だちの数は増えても、配信の出し分けに使える情報が増えません。

媒体資料も、この形を図で示しています。自社会員データベースの「会員ID・氏名・性別・購買情報」の行に、「LINEのユーザーID」の列が足される形です。その間に「LINEミニアプリ上でID連携」と置かれています(同資料p39)。資料は、そのねらいをこう書いています ──「顧客データを統合することで、個別ユーザーの行動や購買履歴に基づいた精度の高いターゲティングが可能となり、マーケティング効果を大幅に向上させることができます」(同資料p39)。「大幅に向上」は資料の表現で、数値の裏づけは同ページにありません。

媒体資料は、LINEミニアプリがウェブアプリに何を足すのかを、こう書いています。

LINEミニアプリを利用することで、LINEのユーザーIDの取得やLINE公式アカウントへのメッセージ送信など、LINEアプリを活用した様々な追加機能をウェブアプリに付与できます。また、LINEミニアプリはLINEアプリ上で動作するウェブアプリであるため、サービスやデータは事業者が所有しており、開発も事業者側で行います。

── LINEヤフー株式会社「LINEミニアプリ 媒体資料」2026年4月14日更新版・p17(2026年8月24日取得)

ユーザーIDの取得は、LINEミニアプリが足す機能として書かれています。そしてデータは事業者側が持つという前提も、同じ文に入っています。なお同じページには「LINEアカウントと紐づいた行動データの取得・活用にはユーザーの許諾が必須となります」という注記も付いています(同資料p17)。

入口を増やしても、連携数が動かないのはなぜか

順番を並べると、差が見えます。会員登録ページへ送る形では、ユーザーは友だち追加 → メッセージのリンクを開く → 登録ページ → 入力 → 送信を通ります。連携が成立するのは最後です。入口を増やすと、この列の先頭に人が並ぶ数が増えます。列の長さは変わりません。

媒体資料は、登録の手間について外部の調査を載せています。アプリをインストールしても使われない理由について、「使用されない理由として最も多い理由は、『使用するまでに個人情報など登録する項目が多いから』でした」という記述です。出典として挙げられているのは日本総研「ライフスタイル系のアプリについてのユーザーの意識・利用状況調査」(調査期間:2022年11月/対象者:スマートフォンを所有し、ライフスタイル系アプリを1つ以上使用している15歳以上の一般消費者1,500名/同資料p9)。一位に来ているのは、入口の数ではなく登録の項目数です。ただしこれは項目の数についての調査で、画面の数を測ったものではありません。またライフスタイル系アプリについての調査で、LINEのID連携を対象にしたものでもありません。

媒体資料は、LINEミニアプリを使った場合について、こう書いています。

ユーザーIDを都度の同意無しで取得可能
ユーザーがLINEミニアプリを起動すると、事業者は即時にユーザーIDを取得可能※1※2
※1 認証済ミニアプリ限定の機能です。
※2 ユーザーデータの取得・提供にあたっては、ユーザーの許諾が必要です。

── LINEヤフー株式会社「LINEミニアプリ 媒体資料」2026年4月14日更新版・p22(2026年8月24日取得)

起動した時点で取得できる、と書かれています。列の最後にあった成立点が、先頭近くに移ります。これが「同意の位置」です。ただし初回アクセス時には、別に「チャネル同意画面」があります。これがスキップされる条件は、次の章で扱います(同資料p32)。

ただし、※1と※2まで含めて読むと、適用範囲が絞られます。※1は、これが認証済ミニアプリ限定の機能だということ。※2は、ユーザーデータの取得・提供には許諾が必要だということです。資料が書いているのは、都度の同意が要らなくなる、というところまでです。

同じ「ID連携」でも、成立する位置が違う A 会員登録ページへ送る形 友だち追加 リンクを開く 登録ページ 入力 送信 → ここで成立 入口を増やすと、先頭に並ぶ数は増える。列の長さは変わらない B 認証済ミニアプリを起動する形 コードを読む 起動 → ここで取得できる (以降はサービスの利用) ※ 認証済ミニアプリ限定の機能。ユーザーデータの取得・提供には許諾が必要(同資料p22の注記) 動かすのは入口の数ではなく、成立点の位置
図1 同じ「ID連携」でも、成立する位置が違います。会員登録ページへ送る形(A)では成立点が列の最後に、認証済ミニアプリを起動する形(B)では媒体資料によれば起動した時点になります。出典:媒体資料 p22(2026年8月24日取得)。Aの並びは実務の一般的な流れとして私たちが書いたもので、資料の記述ではありません。

同意の手数は、認証済ミニアプリかどうかで何が変わるのか

媒体資料には、同意の画面そのものを減らす仕組みも載っています。

ユーザーがLINEミニアプリに初めてアクセスする際に必要となる、権限への同意を簡略化する仕組みです。ユーザーが簡略化に一度同意すれば、別のLINEミニアプリでも権限に同意したとみなされます。以降初めてアクセスするLINEミニアプリ※1では「チャネル同意画面」がスキップされ、すぐにLINEミニアプリの利用を開始できます※2。
※1 「チャネル同意の簡略化」機能が無効なLINEミニアプリでは「チャネル同意画面」が表示されます。

── LINEヤフー株式会社「LINEミニアプリ 媒体資料」2026年4月14日更新版・p32「チャネル同意の簡略化」(2026年8月24日取得)

※1が条件です。スキップが起きるのは、アクセス先のミニアプリでこの機能が有効な場合です。無効なら同意画面は表示されます。

このページも「認証済ミニアプリ限定」とラベルされています。そして注記に、日本での扱いが書かれています。

※2 日本の新規LINEミニアプリチャネルでは「チャネル同意の簡略化」機能が常に有効になります。詳しくは、2026年1月8日のニュースを参照してください。

── LINEヤフー株式会社「LINEミニアプリ 媒体資料」2026年4月14日更新版・p32(2026年8月24日取得)

注記が言っているのは「日本の新規チャネル」についてです。すでに動いているチャネルで有効かどうかは、この資料には書かれていません。ここは確認が要る点として残ります。

資料は、この仕組みの効果をこう書いています ──「利用前に同意画面が表示されないため、広告などからアクセスしたユーザーがサービス利用前に離脱する可能性が低くなります」。「可能性が低くなります」という書き方です。ユーザーが別のLINEミニアプリで簡略化に同意している場合について、同じページは「初回アクセス直後から会員連携が可能になります」と書いています。

資料に「認証済ミニアプリ限定」と書かれている機能のうち、連携の手数に効くもの連携の手数に、どう効くか掲載ページ
起動時のユーザーID取得(都度の同意無しで取得可能)成立点が、列の後ろから前へ移るp22
チャネル同意の簡略化初回アクセス時のチャネル同意画面がスキップされるp32
共通プロフィールのクイック入力プロフィール情報の入力を1タップにできるp29

出典:LINEヤフー株式会社「LINEミニアプリ 媒体資料」2026年4月14日更新版(2026年8月24日取得)。「連携の手数に、どう効くか」の列は、資料の記述をもとにした私たちの整理です。/クイック入力について資料は「会員登録率UPや時間短縮によるユーザー体験の向上が期待できます」と書いており、実測値ではありません。

クイック入力のページには、LINEアカウントとYahoo! JAPAN IDの連携の規模も書かれています ──「LINEアカウントとYahoo! JAPAN IDを連携済のユーザーは約2800万います」。これはLINEとYahoo! JAPANのアカウント間の連携で、本稿で扱っている自社会員IDとの連携とは別のものです。この数字には「2025年7月現在」の注記が付いています(同資料p29)。基準時点のある値として読む前提になります。

資料は、同意についてどこまで書いているか

ここは、設計を詰めるときに効いてくるところです。媒体資料は、複数のページで同じ趣旨の注記を置いています。

  1. p22の注記──「ユーザーデータの取得・提供にあたっては、ユーザーの許諾が必要です」
  2. p12の注記──「LINEアカウントと紐づいた行動データの取得・活用にはユーザーの許諾が必須となります」(p17にも同じ注記が置かれています)
  3. p3の注記──「許諾を得たユーザーのみ友だちに追加されます」

減るのは画面の数で、許諾そのものは前提として置かれています。設計を詰めるときは、手数を減らす話と、何にどう許諾を取るかの話を分けて扱うほうが早く進みます。ここは注記からの私たちの読み方です。

では、何から直すか

ここからは私たちの進め方です。3つあります。

  • 成立点が列のどこにあるかを、先に数える。友だち追加から連携完了までに、ユーザーが越える画面をそのまま書き出します。入口を足す前に、この列の長さを見ます
  • 連携の見返りを、連携を求める画面に置く。会員証・スタンプカードのように、連携が終わると使えるものが同じ画面にあるかを見ます。資料が挙げる小売の利用シーンには「会員証」「スタンプカード」が入っています(同資料p4)
  • 認証済み限定の機能に依存する設計なら、審査の要否を先に確認する。起動時のID取得・チャネル同意の簡略化・クイック入力は、いずれも認証済ミニアプリ限定として書かれています

1つめが要点です。列の長さが分からないまま入口を足すと、成果が出たかどうかも読めません。費用の側の考え方は、LINEミニアプリの費用の記事に整理しています。連携で増えたデータを配信の出し分けに使う段の話は、MA用データ開発のページにまとめています。

よくある質問

LINEのID連携とは何ですか?

LINEのID連携とは、LINEのユーザーIDと自社の会員IDを結びつけて、どの友だちがどの顧客かを分かる状態にすることです(この言い方は私たちの整理です)。媒体資料は、LINEミニアプリを使うと「LINEのユーザーIDの取得やLINE公式アカウントへのメッセージ送信など」の機能をウェブアプリに付与できるとしています。同じ記述の中で、サービスやデータは事業者が所有すると書かれています。(出典:LINEヤフー株式会社「LINEミニアプリ 媒体資料」2026年4月14日更新版・p17、2026年8月24日取得)

LINEのID連携が進まないのは、入口が少ないからですか?

入口の数と、連携が終わるまでの手数は別のものです。会員登録ページへ送る形では、連携が成立するのは列の最後になります。入口を足すと先頭に並ぶ数は増えますが、列の長さは変わりません。媒体資料によれば、認証済ミニアプリでは「ユーザーがLINEミニアプリを起動すると、事業者は即時にユーザーIDを取得可能」で、成立点の位置が変わります。ただし同じページには「※1 認証済ミニアプリ限定の機能です」「※2 ユーザーデータの取得・提供にあたっては、ユーザーの許諾が必要です」という注記が付いており、許諾が不要になるわけではありません。まず数えるのは、友だち追加から連携完了までにユーザーが越える画面の数です(この進め方は私たちの整理です)。(出典:LINEヤフー株式会社「LINEミニアプリ 媒体資料」2026年4月14日更新版・p22、2026年8月24日取得)

LINEミニアプリを使えば、ユーザーの同意は不要になりますか?

不要にはなりません。媒体資料が書いているのは「ユーザーIDを都度の同意無しで取得可能」であることで、同じページの注記は「ユーザーデータの取得・提供にあたっては、ユーザーの許諾が必要です」としています。別のページにも「LINEアカウントと紐づいた行動データの取得・活用にはユーザーの許諾が必須となります」(p12)、「許諾を得たユーザーのみ友だちに追加されます」(p3)と書かれています。減るのは画面の数で、許諾は前提として置かれています。(出典:LINEヤフー株式会社「LINEミニアプリ 媒体資料」2026年4月14日更新版・p3/p12/p22、2026年8月24日取得)

チャネル同意の簡略化は、いま動いているミニアプリでも有効ですか?

媒体資料の注記は「日本の新規LINEミニアプリチャネルでは『チャネル同意の簡略化』機能が常に有効になります」としています。すでに動いているチャネルでの扱いは、申請の窓口で確認する前提になります。なおこの機能は「認証済ミニアプリ限定」とラベルされています。(出典:LINEヤフー株式会社「LINEミニアプリ 媒体資料」2026年4月14日更新版・p32、2026年8月24日取得)

出典

・日本総研「ライフスタイル系のアプリについてのユーザーの意識・利用状況調査」(調査期間:2022年11月/対象者:スマートフォンを所有し、ライフスタイル系アプリを1つ以上使用している15歳以上の一般消費者1,500名)── 上記LINEヤフー媒体資料p9に掲載された内容を参照しています。報告書の原典は本稿では未参照です。
・LINEヤフー株式会社「LINEミニアプリ 媒体資料」(Product Guide・2026年4月14日更新版・全62ページ・発行:LINEヤフー株式会社 CBドメイン)PDFを見る ── 許諾を得たユーザーのみ友だち追加(p3)/小売の利用シーンに会員証・スタンプカード(p4)/インストールしたにも関わらず使用まで至らなかった理由の最上位と日本総研調査の注記(p9)/デジタル会員証と行動データの許諾(p12)/ウェブアプリとの違い・ユーザーIDの取得・データは事業者所有(p17)/起動時のユーザーID取得と2つの注記(p22)/クイック入力・Yahoo! JAPAN ID連携済み約2800万・2025年7月現在(p29)/チャネル同意の簡略化と日本の新規チャネルの注記(p32)/自社会員基盤とのID連携の図と「マーケティング効果を大幅に向上させることができます」の記述(p39)
※ 本稿では費用に触れていません。費用はLINEミニアプリの費用の記事で扱っています。
「約2800万」は同資料p29の注記により「2025年7月現在」の値です。本稿の取得日時点の値ではありません。
※ 図1のA・Bの前後の並びと、図の最下段の一文は、実務で見る流れをもとにした私たちの整理です。資料の記述はBの「起動した時点でユーザーIDを取得可能」(認証済ミニアプリ限定・データの取得と提供には許諾が必要)の部分です。
※ 資料が挙げる効果は「離脱する可能性が低くなります」「会員登録率UP(略)が期待できます」という書き方で、実測値や保証ではありません。
※ 認証審査の要否・項目は、同資料p58の参照先に案内があります(本稿では未参照。着手前に私たちが個別に確認します)。
※ LINE Developersの認証済ミニアプリ関連ドキュメント(verified-mini-app/service-messages)は、2026年8月24日時点で私たちの環境から参照できなかったため未参照です。

執筆者

永野 陽平

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