定期通販の解約率の平均は? 上場企業の開示値と、解約が起きる時期の見つけ方
定期通販の解約率とは、ある期間に定期購入をやめた顧客数を、その期間の始まりに定期購入していた顧客数で割った比率です。ただし「定期通販の平均」として使える数字は、上場企業の開示資料からは取り出せません。私たちが上場102社の開示資料158本を取得し157本を6語で全文検索したところ、解約率・退会率・継続率など6つの語のいずれかが出てきたのは40社、数値まで書いていたのは16社でした。うち消費者向けは3社、物販の定期購入について率で出していたのは1社です(2026年9月18日・24日取得)。この記事では、開示されている実際の数字、会社ごとに違う定義の中身、自社の解約がいつ起きているかを見つける手順の3つを整理します。
自社の解約が、初回直後なのか、数回続いたあとなのかが分からないときは、顧客資産化診断で、獲得と継続のどちらに穴があるかを確かめられます(7問・約3分)。
定期通販の解約率とは
定期通販の解約率とは、ある期間に定期購入をやめた顧客数を、その期間の始まりに定期購入していた顧客数で割った比率です。チャーンレート、退会率、離脱率とも呼ばれます。100からこの比率を引いたものが継続率です。
式そのものは単純です。分子が「やめた数」、分母が「いた数」、これだけです。開示資料で数字が比べられなくなるのは、この2つに何を入れるかが会社ごとに違うからです。分子の期間が1か月なのか1年なのか、分母が人数なのか金額なのか、そして何か月分を平均するのか。この3か所が揃っていない数字を並べても、水準の比較にはなりません。
「定期通販・サブスクの解約率の平均」を探すと、なぜ見つからないのか
1 語は出てくるが、数字が出てこない
私たちは上場102社の有価証券報告書・決算短信・決算説明資料158本を取得し、うち157本を対象に、「解約率」「退会率」「継続率」「チャーン」「Churn」「リピート率」の6語で全文検索しました(2026年9月18日・24日取得)。いずれかの語が本文に出てきたのは40社、1度も出てこなかったのは62社です。さらに、その語に数値が添えられていたのは16社でした。
語は出てくるのに数字が出てこない会社には、定期通販の主要各社が並びます。北の達人コーポレーションは「売上の約7割が定期顧客によって支えられて」いると書き(同社「有価証券報告書」2026年2月期 p.18)、会計上の見積りの主要な仮定として「既存の定期顧客の継続率予測」を挙げています(p.63。同じ仮定は監査上の主要な検討事項としてp.96にも書かれています)。継続率が業績を左右すると書かれている一方で、今回見た同社の資料2本には、水準にあたる数値は見つかりませんでした。継続率は競争上の情報でもあるため、水準まで書かれていないこと自体は説明のつく判断です。
2 数字を出しても、「率」ではなく「指数」で出す
消費者向けの会員制サービスでは、水準ではなく指数で出す形が見られました。RIZAPグループは、チョコザップの退会率の推移を「2022年7月の値を1.00として指数で記載」しています(同社「2027年3月期第1四半期決算補足資料」p.24、2026年9月24日取得)。注記されているのは計算式と基準年で、水準は指数のまま置かれています。
カーブスホールディングスも、定期便契約者の継続率を指数で出しています。プロテインは2011年8月期の月次平均継続率を100として104.4、ヘルシービューティは2024年8月期を100として100.8です(同社「2026年8月期第2四半期決算補足説明資料」p.7、2026年9月24日取得)。指数は「前より良くなったか」には答えますが、「他社と比べてどうか」には答えません。投資家に改善を示す目的には合っていて、水準を知りたい読者の用途には合っていない、というのが私たちの読み方です。
3 同じ「解約率」でも、3か所が違う
数値を出している16社でも、定義は揃っていません。分母に何を入れるかは、人・社・件・台・アカウント・金額に分かれます。平均の取り方も、当月のみ、3か月平均、12か月平均、14か月平均、月次を年間で平均に分かれます。さらに通期でまとめる会社、四半期を月平均にする会社、特定の3か月だけを平均する会社もあります(図1)。
上場102社の開示資料158本のうち、解約率・退会率・継続率など6つの語に数値を添えていた16社の注記から、私たちが3つに整理しました。「金額で数えると単価の低い顧客が抜けても数字は動かない」は、各社の注記から私たちが導いた読み方で、資料に書かれているものではありません(2026年9月18日・24日取得)
上場企業は、解約率をいくつで開示しているのか
数値を出していた16社のうち、率としてプロットできる13社・14の数字を並べます(図2)。1本が1つの開示値です。
上場102社の開示資料158本のうち、率として読める値を出していた13社・14の数字。分母の単位も、平均の取り方も、会社ごとに違います。並べていますが、水準の比較ではありません。数値を出していた16社・19の数字のうち、RIZAPグループのチョコザップ退会率は指数のみ、カーブスホールディングスの定期便契約者の継続率も指数、ベースフードの顧客継続率96.5%は継続率での開示、エス・エム・エスは「0.6%未満」という範囲での記載、メドレーは利用継続率99%のため、この5つは図に入れていません(2026年9月18日・24日取得)
法人向けの2番目に並ぶジーニーの2.78%は、2026年3月期第4四半期の値です。同社の四半期推移は0.20%から2.78%まで動いており(同社「2026年3月期通期決算説明資料」p.23)、同社は特殊要因を除くと概ね0.5%未満と説明しています(同資料p.41)。
それぞれの定義を並べると、同じ位置にいる数字でも中身が違うことが見えます。
| 会社 | 指標名 | 値(%/指数) | 分母 | 平均の取り方 |
|---|---|---|---|---|
| ベースフード | 解約率 | 3.5% | 前月の定期購入者(人) | 3か月平均 |
| ベースフード | 顧客継続率 | 96.5% | 前月の定期購入者(人) | 当月 |
| カーブスホールディングス | 平均月次退会率 | 2.16% | 注記なし(会員・人) | 12月から2月の平均 |
| カーブスホールディングス | 定期便契約者の継続率 | 指数104.4(2011年8月期=100)・100.8(2024年8月期=100)。%ではありません | 今回見た資料に記載なし | 月次平均 |
| RIZAPグループ | チョコザップ退会率 | 指数のみ(基準=1.00/%に戻せません) | 前月末のアクティブ会員数(休会中を含む) | 各月 |
| キャスター | 解約率 | 3.6% | 月初時点の稼働社数の和+当期に開始した社数(社) | 通期 |
| ジーニー | 解約率 | 2.78% | 有料アカウント数(個) | 3か月平均 |
| シャノン | 解約率 | 1.1% | 件数 | 14か月平均 |
| KIYOラーニング | 平均解約率 | 1.00% | 前月の月次ストック売上(金額) | 月次を年間で平均 |
| AnyMind Group | 月間解約率 | 約1.0% | 前四半期末の顧客企業数(使用比率0.1%未満を除く) | 四半期を月平均 |
| Schoo | Net Revenue Churn Rate | 0.98% | 前月の総法人MRR(金額) | 12か月平均 |
| ヤプリ | 月次解約率 | 0.92% | 既存契約の月額課金額(金額) | 12か月平均 |
| セーフィー | 平均月次解約率 | 0.8% | 前月末の課金カメラ台数(台) | 12か月平均 |
| エス・エム・エス | 月次退会率 | 0.6%未満 | 今回見た資料に記載なし | 今回見た資料に記載なし |
| Sansan(Sansan) | 直近12か月平均月次解約率 | 0.55% | 既存契約のMRR(金額) | 12か月平均 |
| ビジョナル(HRMOS) | Churn rate | 0.48% | 前月末のMRR(金額) | 12か月平均 |
| スマレジ | 解約率(MRRチャーンレート) | 0.48% | 先月末時点の月次収益(金額) | 12か月平均 |
| Sansan(BillOne) | 直近12か月平均月次解約率 | 0.34% | 既存契約のMRR(金額) | 12か月平均 |
| メドレー | 利用継続率 | 99% | 今回見た資料に記載なし | 今回見た資料に記載なし |
上場102社の開示資料158本のうち、解約率・退会率・継続率など6つの語に数値を添えていた16社・19の数字(2026年9月18日・24日取得)。分母と平均の取り方は、各社が同じ資料に置いている注記の文言を私たちが要約したものです。決算期は2025年7月期から2027年3月期第1四半期まで分かれており、同じ期間の比較ではありません。ベースフードの解約率3.5%は2026年2月期、顧客継続率96.5%は2026年2月時点の値で、注記の書き方が2か所で違います。
定期通販で解約率を「率」で出していたのは、何社か
今回見た16社・19の数字のうち、物販の定期購入そのものについて率で出していたのは、ベースフードの2つでした(上場102社の開示資料158本、2026年9月18日・24日取得)。同社は自社ECのサブスクリプションについて、2026年2月期の解約率3.5%(前期4.2%)と、2026年2月時点の顧客継続率96.5%を開示しています(同社「有価証券報告書」2026年2月期 p.30・p.8、2026年9月18日取得)。注記はそれぞれこう書かれています。
(注1)当月解約者/前月期購入の3ヶ月平均値
(注)顧客継続率は1−(当月解約者/前月定期購入者)で算出
── ベースフード「有価証券報告書」2026年2月期 p.30(解約率の注記)およびp.8(顧客継続率の注記)。2026年9月18日取得
2つの注記は、3か月平均と書いてあるかどうかが違います。値は3.5%と96.5%で足すと100になりますが、注記の文言だけを読むと、同じ期間を指しているのかどうかは確定できません。ここは私たちの読みで、資料に説明が書かれているわけではありません。
残る消費者向けの2社は、フィットネス会員です。カーブスホールディングスの平均月次退会率2.16%は「女性だけの30分健康フィットネス カーブス」の12月から2月の平均で、物販の定期便については率ではなく指数で出しています(同社「2026年8月期第2四半期決算補足説明資料」p.4・p.7、2026年9月24日取得)。つまり、上場102社の開示資料158本を取得し157本を6語で全文検索した範囲では、物販の定期購入について解約率を率で開示していたのはベースフード1社でした(2026年9月18日・24日取得)。上場企業以外の開示や、調査会社のレポートは範囲に含んでいません。
あわせて押さえる5つの言葉
| ① 解約率(チャーンレート) | ある期間にやめた数を、期間の始まりにいた数で割った比率です。分母を人数で取るか金額で取るかで別の指標になります。金額で取ったものはMRRチャーンレート、収益チャーンなどと呼ばれます。 |
| ② 継続率 | 100から解約率を引いた比率です。ベースフードのように、同じ資料の中で解約率と継続率を別々の注記で定義している会社があります。どちらか一方だけを見ると、注記の違いに気づきません。 |
| ③ Net Revenue Churn Rate | 既存顧客のアップセルとダウンセルを差し引きしたうえで計算する解約率です。既存顧客の増額が大きい月は、解約があっても値が小さく出ます。Schooはこの方式を採っていると注記しています。 |
| ④ コホート | 同じ月に入った顧客のかたまりのことです。月次の解約率は入った時期の違う顧客が混ざりますが、コホートで見ると「入って何か月目に抜けたか」が分かれます。 |
| ⑤ スキップ | 定期契約を続けたまま、その月の配送だけを止める仕組みです。カーブスホールディングスは、商品のお届けをもって売上計上するため、スキップ数の減少が売上増の要因になると注記しています。契約は続いているため、解約率の分子には入りません。 |
他社の数字が使えないなら、どこを見るか
解約率の水準を外から借りることはできません。ただし定義の並びは借りられます。図1の3か所を自社の数字に当てはめると、いま社内で使っている「解約率」が何を測っているかが1行で書けます。他社と比べる目的でなければ、それで足ります。
水準を借りられない以上、見るのは自社の時系列と、自社の中の分かれ方です。次の章では後者を扱います。
自社の解約が、いつ起きているかをどう見つけるか
月次の解約率を1本のグラフで見ていると、数字が動いた月は分かりますが、誰が抜けたかは分かりません。1つの月の解約者には、初回だけで抜けた人と、2年続けて抜けた人が混ざっているからです(図3)。
棒の高さは説明のための形で、実際の数値ではありません。この整理は私たちのもので、特定の資料に書かれているものではありません
1 月次を1本で見るのをやめて、回数で数える
定期通販では、何回目のお届けまで届いたかで数え直すと、落ちている場所が出ます。初回の同梱物で決まるのか、価格が通常価格に切り替わる回で決まるのか、飽きが来る回で決まるのかは、月次の1本では分かれません。回数で数えるのに必要なのは、顧客IDと、その顧客の何回目の配送かという列の2つだけです。新しい計測の仕組みを入れる前に、いまの受注データで出せることが多くあります。
月次の解約率を捨てる必要はありません。月次は社外に説明するための数字、回数別は打ち手を置く場所を決めるための数字、と役割を分けます。
2 入った月でまとめる(コホート)
同じ月に入った顧客をひとかたまりにして、その後の残り方を追う見方です。月次の解約率は、先月入った人と3年前から続いている人が同じ分母に入るため、新規獲得の量が増えた月は解約率が上がって見えます。獲得が増えたのか、続かなくなったのかが、1本の線では分かれません。
この「分母に誰を入れるか」で数字が変わる話は、リテンション率とリピート率でも同じ形で起きます。指標の名前と分母の対応はリテンション率とリピート率の記事で整理しています。
3 「解約していないのに買っていない」を分ける
定期通販には、解約と休眠の間の状態があります。カーブスホールディングスはこれをスキップと呼び、定期便のスキップ率を継続率とは別の指標として、2025年8月期第1四半期の月次平均を100とした指数で出しています(同社「2026年8月期第2四半期決算補足説明資料」p.7、2026年9月24日取得)。
*スキップ:定期契約をしている会員様がその月の商品のお届けをスキップする制度。商品のお届けをもって代金請求、売上計上をしているため、スキップ数の減少は購入数増加→売上高増加要因に
── カーブスホールディングス「2026年8月期第2四半期決算補足説明資料」p.7。2026年9月24日取得
スキップは解約率に出てきません。契約は生きているからです。それでも売上は立ちません。自社にスキップ・お休み・周期変更の仕組みがあるなら、解約率とは別に、その月に配送が発生しなかった人の比率を並べて見ます。解約率が横ばいなのに売上が落ちるときの説明が、ここにあることがあります。
4 分母から外している人を、戻して数える
開示資料には、分母をあらかじめ絞っている例があります。キャスターは解約率などのKPIについて「契約が3ヶ月以内に終了する顧客を除いた数値で算出しております」と注記しています(同社「有価証券報告書」2025年8月期 p.13、2026年9月18日取得)。
早く抜けた顧客を除くこと自体は、事業の実態を示す目的では説明のつく処理です。ただし自社の解約を探すときは、逆になります。探しているのは、除かれている側の人です。初回だけで抜けた人、無料や割引の期間が終わる前に止めた人、そもそも1回も届いていない人。社内のレポートがこの層を分母から外していないかを、まず確かめます。
ここまでの4つは、どれも新しいツールを入れずに、いまある受注データで出せます。順番としては、回数別、コホート、スキップ、分母の確認の順に見ると、手戻りが少なくなります。この順番は私たちの整理で、どこかの資料に書かれているものではありません。売上側の見方とつなげる場合はLTVの計算式の記事を合わせてご覧ください。
定期通販の解約率について、よくある質問
定期通販の解約率の平均は、何%ですか?
上場102社の開示資料158本(うち157本を6語で全文検索)の範囲では、平均を出せません。その範囲で、物販の定期購入について解約率を数値で開示していたのは1社で、ベースフードの2026年2月期3.5%でした(同社「有価証券報告書」2026年2月期 p.30。2026年9月18日取得)。
解約率・退会率・継続率など6つの語のいずれかが出てきたのは40社、数値まで書いていたのは16社です。ただし16社のうち13社は法人向けのSaaSやBPOで、分母も金額で取っている会社が多くあります。1社の値を業界の平均として扱うことはできません。
サブスクの解約率は、月次で何%なら良いのですか?
私たちが読んだ上場102社の開示資料158本から並べた14の値は、0.34%から3.6%まで分かれていました。この幅を良し悪しの基準として使うことはできません(2026年9月18日・24日取得)。
この幅は水準の差ではありません。分母が金額(MRR・月次ストック売上)の会社と、人数・社数・アカウント数の会社が混ざっているためです。金額を分母にすると、単価の低い顧客が抜けても数字が動きにくくなります。自社の値を他社と並べる前に、分母の単位を揃えられるかを確認します。
解約率と継続率は、足すと100%になりますか?
同じ定義であれば100%になりますが、同じ会社の同じ資料でも注記が違うことがあります。ベースフードは解約率を「当月解約者/前月期購入の3ヶ月平均値」、顧客継続率を「1−(当月解約者/前月定期購入者)」と、別々に注記しています(同社「有価証券報告書」2026年2月期 p.30・p.8。2026年9月18日取得)。
値は3.5%と96.5%で、足すと100になります。ただし注記の文言では、3か月平均を取っているのが解約率の側だけです。社内で両方を使う場合は、どちらか一方を正と決めて、もう一方はその引き算として定義しておくと、食い違いが起きません。
解約率が横ばいなのに、定期の売上が下がるのはなぜですか?
解約していない顧客が買っていない状態があるためです。カーブスホールディングスは、定期契約を続けたままその月の配送を止める「スキップ」を制度として持ち、スキップ率を継続率とは別の指標として指数で開示しています(同社「2026年8月期第2四半期決算補足説明資料」p.7。2026年9月24日取得)。
同社の注記は、商品のお届けをもって売上計上するため、スキップ数の減少が売上増の要因になると書いています。自社にスキップ・お休み・周期変更の仕組みがあるなら、解約率とは別に、配送が発生しなかった人の比率を並べます。ほかにも、単価の低い定期コースへの切り替えや、配送周期の延長が同じ形で効きます。この読み方は私たちのもので、資料に書かれているものではありません。
自社の解約がいつ起きているかは、どうやって調べますか?
月次の解約率を、購入回数で割り直すところから始めます。必要なのは顧客IDと、その顧客の何回目の配送かという列の2つで、新しい計測の仕組みを入れずに、いまの受注データから出せることが多くあります。
そのうえで、入った月でまとめたコホートを見て、配送が発生しなかった人を分け、社内のレポートが早期解約者を分母から外していないかを確かめます。上場企業の開示にも、分母をあらかじめ絞っている例があります。キャスターは「契約が3ヶ月以内に終了する顧客を除いた数値で算出しております」と注記しています(同社「有価証券報告書」2025年8月期 p.13。2026年9月18日取得)。この4つの順番は私たちの整理です。
まとめ
定期通販の解約率とは、ある期間にやめた顧客数を、期間の始まりにいた顧客数で割った比率です。式は1つですが、分子の期間、分母の単位、平均の取り方の3か所が会社ごとに違うため、名前が同じでも中身が揃いません。
「平均」は、上場102社の開示資料158本を取得し157本を6語で全文検索した範囲では出せませんでした(2026年9月18日・24日取得)。上場102社の開示資料158本のうち、解約率・退会率・継続率など6つの語が出てきたのは40社、数値まで書いていたのは16社、物販の定期購入で率を出していたのは1社でした(2026年9月18日・24日取得)。消費者向けの会員制では、率ではなく指数で出す形も見られました。
私たちが並べた14の値は0.34%から3.6%まで並びます。この幅が映しているのは、分母の違いです。金額を分母にしている会社と、人数・社数・アカウント数を分母にしている会社が混ざっています。並べる前に、分母の単位を揃えられるかを見ます。
他社の水準は借りられないので、見るのは自社の中の分かれ方です。月次の1本を購入回数で割り直し、入った月でまとめ、配送が発生しなかった人を分け、分母から外している人を戻す。この4つは、いまある受注データから出せます。
出典と、書けなかったこと
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出典
・ベースフード「有価証券報告書」2026年2月期ページを見る ── p.30 重視する経営指標の推移(解約率 2025年2月期4.2%/2026年2月期3.5%、注1「当月解約者/前月期購入の3ヶ月平均値」)、p.8(サブスクリプション会員数23.5万人、顧客継続率96.5%、注「顧客継続率は1−(当月解約者/前月定期購入者)で算出」)。2026年9月18日に取得・カーブスホールディングス「2026年8月期第2四半期決算補足説明資料」ページを見る ── p.4(2Q(12-2月)平均月次退会率2.16%)、p.7(定期便契約者の継続率指数 プロテイン104.4・ヘルシービューティ100.8、スキップ率指数83.6・74.5、スキップ制度の注記)。2026年9月24日に取得
・RIZAPグループ「2027年3月期第1四半期決算補足資料」(2026年8月14日)ページを見る ── p.24 チョコザップ退会率の推移(注「各月の退会者数(休会中会員を含む)を前月末時点でのアクティブ会員数(休会中会員含む)で割った値。2022年7月の値を1.00として指数で記載」)。2026年9月24日に取得
・キャスター「有価証券報告書」2025年8月期ページを見る ── p.13 KPIの推移(解約率 2023年8月期4.0%/2024年8月期3.7%/2025年8月期3.6%、注1「契約が3ヶ月以内に終了する顧客を除いた数値で算出しております」、注3「当期解約社数を各月の月初時点稼働社数の和と当期開始社数の和で除した数値」)。2026年9月18日に取得
・Sansan「有価証券報告書」2026年5月期ページを見る ── p.32(「Sansan」直近12か月平均月次解約率0.55%、「BillOne」0.34%、注2「各サービスの既存契約のMRRに占める、解約に伴い減少したMRRの割合」)。2026年9月18日に取得
・セーフィー「有価証券報告書」2025年12月期ページを見る ── p.13(全社平均月次解約率0.8%、注5「前月末における課金カメラ台数に占める、当月中に解約に伴い減少した月額課金台数の割合の過去12ヶ月平均値」)。2026年9月18日に取得
・KIYOラーニング「2025年12月期決算説明資料」ページを見る ── p.30(4Qの平均解約率1.00%、注「平均解約率とは、AirCourseの月次ストック売上(月次売上からスポット売上を引いたもの)について、解約に伴い前月から当月に減少した割合(=月次解約率)を計算し、その値を年間で平均した数値」)。2026年9月18日に取得
・AnyMind Group「有価証券報告書」2025年12月期 ── p.14(2025年の月間解約率 約1.0%)、p.16 用語解説9(「前四半期末時点の顧客企業(全体の使用比率に対して0.1%未満の顧客企業を除く)の数に対する当四半期に離脱した顧客企業数の割合を月平均したもの」)。2026年9月18日に取得
・Schoo「有価証券報告書」2025年9月期 ── p.11(注4の定義・算式。「解約率は、既存顧客のアップセル/ダウンセルを考慮したNet Revenue Churn Rateを採用しており、四半期決算月ごとに以下の算式により算出しております。」、算式は「{今月新規法人MRR(当月獲得)-(今月総法人MRR-前月総法人MRR)}/前月総法人MRR」の12か月平均)、p.22(四半期推移表。2025年9月期4Q 0.98%)。2026年9月18日に取得
・ビジョナル「2026年7月期決算短信」 ── p.4(『HRMOS』の12ヵ月平均Churn rate 0.48%、注9「当月の解約により減少したMRR÷前月末のMRRを単月Churn rateとし、その直近12ヵ月平均」)。2026年9月18日に取得
・ヤプリ「有価証券報告書」2025年12月期 ── p.7(月次解約率(直近12カ月平均)0.92%、注5「既存契約の月額課金額に占める、解約に伴い減少した月額課金額の平均割合」)、p.20。2026年9月18日に取得
・スマレジ「有価証券報告書」2026年4月期 ── p.6(解約率0.48%)、p.8 注2(「MRRチャーンレート(2025年5月から2026年4月までの12か月平均)」「当月失った月次収益を先月末時点の月次収益で除すことで計算される実質解約率」)。2026年9月18日に取得
・シャノン「2025年12月期決算説明資料」 ── p.6(解約率(件数ベース)1.1%、前年期末時点1.3%、注「直近14か月(前年分は12か月)の月次解約率の平均値」)。2026年9月18日に取得
・ジーニー「2026年3月期通期決算説明資料」 ── p.24(マーケティングSaaS事業の解約率2.78%)、p.23 四半期推移(0.20%〜2.78%)、p.25 注(「アカウントの3か月平均解約率」)および一時的上昇の説明、p.41(「これまで発生した解約は主として個社事情によるものであり、そうした特殊要因を除くと、解約率は概ね0.5%を下回る水準で推移しております。」)。2026年9月18日に取得
・エス・エム・エス「2026年3月期決算説明資料」ページを見る ── p.26(介護・障害福祉経営支援の月次退会率「<0.6%」)。2026年9月18日に取得
・メドレー「有価証券報告書」2025年12月期ページを見る ── p.9(利用継続率99%)。2026年9月18日に取得
・北の達人コーポレーション「有価証券報告書」2026年2月期ページを見る ── p.18(売上の約7割が定期顧客)、p.63(重要な会計上の見積りの注記。主要な仮定は「新規顧客獲得予測と既存の定期顧客の継続率予測」)、p.96(監査上の主要な検討事項での同趣旨の記載)。2026年9月18日に取得
・プレミアアンチエイジング「2025年7月期決算説明資料」ページを見る ── p.30(総会員数390万人突破、2定期商品以上保持顧客数)。2026年9月18日に取得
・新日本製薬「2025年9月期決算補足説明資料」ページを見る ── p.28(LTV最大化に向けて継続率向上)、p.35(約660万人の顧客データベース)。2026年9月18日に取得
・オイシックス・ラ・大地「有価証券報告書」2026年3月期ページを見る ── p.27(Oisix会員数は直近2年間35〜36万人台)。6語のいずれも出現しませんでした。2026年9月18日に取得
・158本を取得し、うち157本を全文検索しました。1本は暗号化によりテキスト抽出ができませんでした(Sansan「2026年5月期決算短信」)。同社の数値は有価証券報告書から取っています(Sansan「2026年5月期決算短信」)。
・全文検索の対象は、上場102社の有価証券報告書・決算短信・決算説明資料158本です。検索語は「解約率」「退会率」「継続率」「チャーン」「Churn」「リピート率」の6語。数値を添えていた16社については、資料名・ページ・原文の抜粋を社内の照合表に記録しています。2026年9月18日および24日に取得
・ページ番号は、いずれもPDFの通しページです。紙面に印字された番号とは一致しない資料があります。
・PDFから抽出した原文には、読点や漢字が通常とは異なる字(「、」や異体字)で入るものがあります。引用はvaultに収めた抽出テキストのままにしており、読みやすさのための置き換えはしていません。ただしジーニーの引用のみ、抽出時に混入した異体字(⽉・⽣・⽔・⼤)を通常の字に直しています。
書けなかったこと
・定期通販の平均は出していません。物販の定期購入で率を開示していたのは1社だけです。1社の値は、業界の水準を代表するものではありません。
・決算期が揃っていません。16社の決算期は2025年7月期から2027年3月期第1四半期まで分かれており、同じ期間の比較ではありません。
・図2の並びは、水準の比較ではありません。分母の単位(人・社・件・台・アカウント・金額)と平均の取り方(当月・3か月・12か月・14か月・年間)が会社ごとに違います。
・金額を分母にする方式と人数を分母にする方式のどちらが大きく出るかは、検証していません。図2では金額ベースが下側に、人数・社数・アカウント数ベースが上側に寄りましたが、この2群は事業の種類も顧客の性質も違うため、分母の単位だけが理由とは言えません。
・モビルスは「当月の解約による減少したライセンス売上÷前月末のライセンス売上」の12ヵ月平均という定義を注記していますが、値はグラフのみで数値が文字として書かれていないため、16社には数えていません(同社「2025年8月期決算説明資料」p.9)。
・グラフだけで値を出している会社を網羅できていません。数え方は「その語に数値が文字として添えられているか」です。図表の目盛りから読み取れる値は数えていません。
・RIZAPグループとカーブスホールディングスの指数は、基準年の実数が開示されていないため、%に戻せません。
・ベースフードの2つの注記が同じ期間を指しているかは確定できません。値は足すと100になりますが、3か月平均の記載は解約率の側にしかありません。
・ベースフードの決算説明資料は取得できていません。IRサイトがJavaScriptで描画されており、PDFのURLを取り出せませんでした(basefood.co.jp/ir/library/result/、2026年9月24日確認)。
・オイシックス・ラ・大地の決算説明資料は取得できていません。IRライブラリのURLが404で、IRトップもJavaScript描画のため資料へのリンクを取り出せませんでした(oisixradaichi.co.jp/ir/、2026年9月24日確認)。有価証券報告書と決算短信の範囲では、解約率に相当する指標は開示されていません。
・ヤプリ・スマレジ・シャノン・ジーニー・AnyMind Group・Schoo・ビジョナルの資料は、社内の照合表にURLの記録がないため、この記事ではリンクを付けていません。資料名とページは記載のとおりです。
・解約の理由は扱っていません。開示資料に載っているのは率と定義で、なぜやめたかは、この範囲では追えません。
・図3は模式図です。棒の高さは説明のための形で、実際の数値ではありません。どの回で落ちるかは商材と価格で変わります。
・手順の4つは、私たちが案件で使っている順番です。効果を測った検証ではありません。
引用した原文
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[原文]引用した資料の記載
[1]ベースフード「有価証券報告書」2026年2月期 p.30:「解約率(%)(注1) 4.2 3.5」「(注1)当月解約者/前月期購入の3ヶ月平均値」(2025年2月期・2026年2月期の順)
[2]ベースフード「有価証券報告書」2026年2月期 p.8:「なお、2026年2月時点でのサブスクリプション会員数は23.5万人、顧客継続率は96.5%(注)となっております。」「(注)顧客継続率は1−(当月解約者/前月定期購入者)で算出」
[3]カーブスホールディングス「2026年8月期第2四半期決算補足説明資料」p.7:「*スキップ:定期契約をしている会員様がその月の商品のお届けをスキップする制度。商品のお届けをもって代金請求、売上計上をしているため、スキップ数の減少は購入数増加→売上高増加要因に」
[4]RIZAPグループ「2027年3月期第1四半期決算補足資料」p.24:「※ 各月の退会者数(休会中会員を含む)を前月末時点でのアクティブ会員数(休会中会員含む)で割った値。2022年7月の値を1.00として指数で記載」
[5]キャスター「有価証券報告書」2025年8月期 p.13:「(注) 1.各数値はBPaaS事業・在宅派遣サービスにおいて、契約が3ヶ月以内に終了する顧客を除いた数値で算出しております。」「3.解約率は、当期解約社数を各月の月初時点稼働社数の和と当期開始社数の和で除した数値であります。」
執筆者
永野 陽平
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