AIエージェントの費用は、何で決まるのか
AIエージェントの費用は、モデルの単価では決まりません。決めるのは、毎回どれだけ読ませるかと、何回呼ぶかです。Anthropicの料金は、AIに読ませた分(入力トークン)と、AIが返した分(出力トークン)を別建てで数えま […]
読むAIの答えに自社が出てくるかどうかは、検索順位で候補に入ったあと、書き方で変わります。KDD 2024で発表された研究「GEO: Generative Engine Optimization」は、9つの書き方を実際に試して比べています。この実験では、各質問についてGoogle検索の上位5件だけがAIに渡されます。つまり順位は前提で、そのうえで5件の中からどれが引用されるかを測っています。もっとも効いたのは、信頼できる出典からの原文引用を入れることでした。何もしない状態のスコアが19.5、原文引用を入れると27.8です(いずれも同論文Table 1のWord列)。逆に、検索で長く使われてきたキーワードの詰め込みは17.8で、何もしないより下でした。候補に入るところまでは順位の仕事で、そこから先は書き方の仕事だ、というのが私たちの読み方です。
このリードの出典:Pranjal Aggarwal ほか「GEO: Generative Engine Optimization」(KDD ’24, August 25–29, 2024, Barcelona, Spain/arXiv 2311.09735。2026年8月28日に原本PDFを取得し全文を確認)。本稿の数値はすべてこの論文1本から取っています。19.5・27.8は同論文Table 1のWord列(下位指標)での絶対スコアで、改善率ではありません。実際の引用回数や流入数でもありません。テスト用1,000クエリ全体・5つの乱数シードの平均です。回答の生成に使われているモデルはgpt3.5-turboで、2024年時点の設定です。日本語はすべて私たちの訳です。
AIに聞いたときに、自社が出てくるかどうか。私たちが入る案件でも、この問いが出るようになりました。
ただ、ここで困るのが、やることの見当がつかないことです。検索なら順位という物差しがあり、上げ方の定石もありました。AIの答えの中に出るかどうかには、まだそれがありません。
結論から言うと、比べた研究があります。すでに記事を書いている場合も、書き直す話ではありません。足す書き方が分かる、という話です。
この研究の実験設定を先に見ておきます。ここを飛ばすと、結果を読み違えます。
Due to context length limitations and quadratic scaling cost based on the context size of transformer models, only the top 5 sources are fetched from the Google search engine for every query. The setup closely mimics the workflow used in previous works and the general design adopted by commercial GEs such as you.com and perplexity.ai. The answer is then generated by the gpt3.5-turbo model using the same prompt as prior work.
── Aggarwal ほか「GEO: Generative Engine Optimization」KDD 2024・3.1節(2026年8月28日に原本PDFを取得。訳:文脈長の制約と、トランスフォーマーの文脈サイズに対する二次関数的なコスト増のため、各クエリについてGoogle検索の上位5件のソースのみを取得しています。この構成は、先行研究で用いられた流れと、you.com や perplexity.ai といった商用の生成エンジンが採用している一般的な設計をよく模したものです。回答はその後、先行研究と同じプロンプトを用いてgpt3.5-turboモデルによって生成されます。原文の文献番号は省略しました。省略はそれだけで、文をつなぎ変えてはいません。)
この実験では、上位5件に入っていないサイトは、そもそも候補になりません。だからこの研究が測っているのは「順位に代わるもの」ではなく、「候補に入った5件のうち、どれが引用されるか」です(この整理は私たちのものです)。
順位への影響についても、論文は範囲を切っています。限界を述べた節で「we didn’t evaluate how GEO methods affect search rankings」(GEO手法が検索順位にどう影響するかは評価していない)としつつ、「they are less likely to affect search engine rankings」(それらが検索順位に影響する可能性は低いと考えられる)と書いています(出典:同論文9節)。「この書き方をすれば順位も上がる」という話ではありません。
GEO(Generative Engine Optimization)とは、生成AIの答えの中で自社の内容が使われる度合いを高めるための、書き方の最適化のことです(出典:同論文/2026年8月28日に原本を取得。この1文は、論文の趣旨を私たちが1文にまとめたものです。原文はこの下に引用しました)。
Through rigorous evaluation, we demonstrate that GEO can boost visibility by up to 40% in generative engine responses. Moreover, we show the efficacy of these strategies varies across domains, underscoring the need for domain-specific optimization methods.
── 同論文・アブストラクト(2026年8月28日に原本PDFを取得。訳:厳密な評価を通じて、GEOが生成エンジンの応答における可視性を最大40%高められることを示します。さらに、これらの戦略の有効性は分野によって異なることを示し、分野ごとの最適化手法が必要であることを裏づけます)
「up to 40%(最大40%)」です。平均ではありません。そして「分野によって異なる」とも書かれています。どの業種でも同じように効く、という話ではありません。
対象の規模も押さえておきます。論文は「Our benchmark comprises 10K queries divided into 8K, 1K, and 1K for train, validation, and test splits, respectively」(このベンチマークは1万件のクエリからなり、学習8,000件・検証1,000件・テスト1,000件に分かれています)としており、次の表の数値はテスト用の1,000クエリ全体での結果です。クエリは9つのデータ源から集められています(出典:同論文3.2節)。
| 書き方 | スコア | 何もしない(19.5)との差 |
|---|---|---|
| 何もしない(No Optimization・ベースライン) | 19.5 | ── |
| 原文引用を入れる(Quotation Addition) | 27.8 | +8.3点 9つで最高 |
| 統計を入れる(Statistics Addition) | 25.9 | +6.4点 |
| 読みやすさを上げる(Fluency Optimization) | 25.1 | +5.6点 |
| 出典を挙げる(Cite Sources) | 24.9 | +5.4点 |
| 専門用語を入れる(Technical Terms) | 23.1 | +3.6点 |
| 平易にする(Easy-to-Understand) | 22.2 | +2.7点 |
| 権威的な口調にする(Authoritative) | 21.8 | +2.3点 |
| 珍しい語を入れる(Unique Words) | 20.7 | +1.2点 |
| キーワードを詰め込む(Keyword Stuffing) | 17.8 | ▲1.7点 何もしないより下 |
出典:同論文・Table 1のWord列(2026年8月28日に原本PDFを取得)。これは絶対スコアで、改善率ではありません。差の列の単位は「点」で、この記事の後半に出てくるTable 2の「%」とは別種の数字です。WordはPosition-Adjusted Word Countの下位指標で、同じTable 1のOverall列では何もしない19.3・原文引用27.2です。論文はTable 1の見出しで「improve upon baseline by 41%」(ベースラインを41%上回る)と書いていますが、どの列かは明記していません。Word列で計算すると42.6%、Overall列(27.2÷19.3)では40.9%で、41%と整合するのはOverall側です。これは本稿での検算です。「何もしないとの差」の列は私たちが引き算したもので、論文にこの列はありません。テスト用1,000クエリ全体・5つの乱数シードの平均です。この指標は生成された応答の中での見え方を測るもので、実際の引用回数や流入数ではありません。日本語は私たちの訳です。
論文自身は、9つを2つのグループに分けています。「Non-Performing(性能が出ない)」に入れられているのはキーワード詰め込みと珍しい語の2つだけで、残りの7つは「High-Performing(性能が高い)」側です(出典:同論文・Table 1の行グループ見出し)。
そのうえで、上位に並んだものには共通点があります。原文引用、統計、出典。いずれも、外から持ってきた材料を入れる書き方です(この見方は私たちのものです)。
ただし、材料だけではありません。読みやすさ(25.1)が3番目に来ています。論文はこう書いています。
Interestingly, stylistic changes such as improving fluency and readability of the source text (Fluency Optimization and Easy-to-Understand) also resulted in a significant visibility boost of 15-30%. This suggests that Generative Engines value not only content but also information presentation.
── 同論文(2026年8月28日に原本PDFを取得。訳:興味深いことに、原文の流暢さと読みやすさを改善するといった文体上の変更も、15〜30%の有意な可視性の向上をもたらしました。これは生成エンジンが、内容だけでなく情報の提示のしかたも重視していることを示唆します)
権威的な口調については、論文が別に触れています。「we find no significant improvement」(有意な改善は見られなかった)とされ、「Generative Engines are already somewhat robust to such changes」(生成エンジンはそうした変更に対してすでにある程度堅牢である)と書かれています(出典:同論文4節)。強く言い切れば引用される、ということではないようです。ただし論文の分類ではHigh-Performing側に入っており、別の指標(Subjective Impression)の平均では22.9で全手法中3位です。「効かない」と切り捨てられているわけではありません。
論文は、その世界も試しています。ここは実験の設定が前の表と違うので、分けて読む必要があります。
In the evolving landscape of Generative Engines, GEO methods are expected to become widely adopted, leading to a scenario where all source contents are optimized using GEO. To understand the implications, we conducted an evaluation of GEO methods by optimizing all source contents simultaneously, with results presented in Table 2.
── 同論文5.2節「Optimization of Multiple Websites」(2026年8月28日に原本PDFを取得。訳:生成エンジンをめぐる状況が変化していく中で、GEO手法は広く採用されると見込まれ、すべてのソースの内容がGEOで最適化される状況に至ります。その影響を理解するため、すべてのソースの内容を同時に最適化して評価を行い、結果をTable 2に示しました)
「optimizing all source contents simultaneously(すべてのソースの内容を同時に最適化して)」です。次の表は、候補の5件が全部この書き方をした場合に、そのうちどこがシェアを取るかを示しています。自社だけがやった場合の数字ではありません。
| 書き方 | 検索1位のサイト | 3位 | 5位 |
|---|---|---|---|
| 出典を挙げる | ▲30.3% | +20.4% | +115.1% |
| 原文引用を入れる | ▲22.9% | +3.5% | +99.7% |
| 統計を入れる | ▲20.6% | +8.1% | +97.9% |
| 権威的な口調にする | ▲6.0% | ▲0.6% | +6.1% |
| 読みやすさを上げる | ▲2.0% | +3.6% | +2.2% |
出典:同論文・Table 2(2026年8月28日に原本PDFを取得)。この表は、候補の5件が全部この書き方をした場合のシェア変化です(同論文5.2節「Optimization of Multiple Websites」)。自社だけがやった場合の数字ではありません。数値は相対改善率(%)で、前の表の絶対スコア(点)とは別種の数字です。論文は表の説明に「GEO is especially helpful for lower ranked websites」(GEOは検索順位の低いサイトに特に有効である)と書いています。2位と4位は紙幅の都合で省いています。省いた値は、出典を挙げる=2位+2.5%・4位+15.5%、原文引用=2位▲7.0%・4位+25.1%、統計=2位▲3.9%・4位+10.0%、権威的=2位+4.1%・4位+12.6%、読みやすさ=2位+5.2%・4位▲4.4%です。日本語は私たちの訳です。
下位が伸びる理由は、論文が書いています。
This is because traditional search engines rely on multiple factors, such as the number of backlinks and domain presence, which are challenging for small creators to achieve. However, since Generative Engines utilize generative models conditioned on website content, factors such as backlink building should not disadvantage small creators.
── 同論文5.2節(2026年8月28日に原本PDFを取得。訳:これは従来の検索エンジンが、被リンクの数やドメインの存在感といった複数の要因に依存しており、小さな作り手にはそれを得るのが難しいためです。しかし生成エンジンはサイトの内容を条件として生成モデルを使うため、被リンクの獲得のような要因が小さな作り手を不利にすることはないはずです。)
被リンクやドメインの評価に依存しない、というのが理由です。ここが、検索とAIの答えで前提が変わるところです。なお、1位のサイトが下がる理由そのものは、論文には書かれていません。候補の中でのシェアを測る指標なので、全員が上げると上位の取り分が減る計算になります(この説明は私たちのもので、論文に書かれているものではありません)。
この表は、全員がやり始めたあとの世界の話です。そうなるまでは、自社に当てはまるのは前の表のほうです。いま見るべきは、9つのうちどれを足すか、です(この整理は私たちのものです)。
ここからは私たちの進め方です。すでに記事がある場合も、書き直す話ではありません。3つあります。
書き直すより、持ってくるほうに判断が寄ります。器を入れる前に材料の形を決める話はBrazeを使いこなせないのは、機能の問題ではないで、何を資産と呼ぶかを先に決める順序は顧客資産化の設計順序で扱いました。
KDD 2024の研究では、9つの書き方のうち信頼できる出典からの原文引用を入れる書き方がもっとも高いスコア(27.8)でした。統計を入れる(25.9)、読みやすさを上げる(25.1)、出典を挙げる(24.9)が続きます。何もしない状態は19.5です。これは同論文Table 1のWord列での絶対スコアで、改善率ではありません。実際の引用回数や流入数でもありません。実験の設定(対象件数・使用モデル)は末尾の出典欄にまとめました。(出典:Aggarwal ほか「GEO: Generative Engine Optimization」KDD 2024/2026年8月28日に原本PDFを取得)
この研究の設定では、検索上位5件に入っていないサイトはそもそも候補になりません。論文は「only the top 5 sources are fetched from the Google search engine for every query」(各クエリについてGoogle検索の上位5件のソースのみを取得する)としています。そのうえで、候補に入った5件の中では、順位の低いほうが書き方の効果を大きく受けています。ただしこの結果は「候補の全ソースが同時に最適化した場合」の実験(同論文5.2節)で得られたものです。順位を無視できる、という話ではありません。(出典:同論文3.1節・5.2節/2026年8月28日に原本PDFを取得)
この研究の主指標では効いていません。キーワードの詰め込みはTable 1のWord列で17.8、何もしない状態の19.5を下回っています。論文の本文は「While widely used for Search Engine Optimization, we find such methods offer little to no improvement on generative engine’s responses」(検索エンジン最適化では広く使われているが、生成エンジンの応答についてはほとんど、あるいはまったく改善しないことが分かった)と書いています。「悪化する」とまでは書かれていません。また別の指標(Subjective Impression)の平均では20.2で、ベースライン19.3をわずかに上回っています。指標によって向きが変わります。(出典:同論文/2026年8月28日に原本PDFを取得)
論文は権威的な口調について「we find no significant improvement」(有意な改善は見られなかった)とし、「Generative Engines are already somewhat robust to such changes」(生成エンジンはそうした変更に対してすでにある程度堅牢である)と書いています。ただし論文の分類では性能が高い側(High-Performing)に入っており、別の指標(Subjective Impression)の平均では22.9で全手法中3位です。「効かない」ではなく「伸びが小さい」と読むのが正確です。これは私たちの読み方です。(出典:同論文4節・Table 1/2026年8月28日に原本PDFを取得)
同じではありません。論文はアブストラクトで「we show the efficacy of these strategies varies across domains, underscoring the need for domain-specific optimization methods」(これらの戦略の有効性は分野によって異なることを示し、分野ごとの最適化手法が必要であることを裏づけます)と書いています。実際、手法ごとに効く分野が違うことを示した表も載っています。また限界を述べた節で「methods may need to adapt over time as GEs evolve」(生成エンジンの進化に応じて、手法も時間とともに更新が必要になる可能性がある)としています。2024年・gpt3.5-turboでの結果であり、自社の分野でそのまま再現する前提では読めません。(出典:同論文/2026年8月28日に原本PDFを取得)
出典
・Pranjal Aggarwal, Vishvak Murahari, Tanmay Rajpurohit, Ashwin Kalyan, Karthik Narasimhan, Ameet Deshpande「GEO: Generative Engine Optimization」KDD ’24, August 25–29, 2024, Barcelona, Spainページを見る ── 実験設定(Google上位5件のみ・gpt3.5-turbo・3.1節)/GEO-benchの規模(1万クエリ・テスト1,000件・3.2節)/9つの書き方の絶対スコアと2つの分類(Table 1)/読みやすさにも15-30%の向上(本文)/権威的な口調は有意な改善なし(4節)/キーワード詰め込みはほとんど改善しない(本文)/全ソース同時最適化での順位別シェア変化(Table 2・5.2節)/下位が伸びる理由は被リンク依存がないため(5.2節)/可視性は最大40%向上・効果は分野によって異なる(アブストラクト)/順位への影響は未評価(9節)。2026年8月28日に原本PDFを取得し、pypdfで全文を抽出して確認執筆者
永野 陽平
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