LTVは、どの式で計算しているかで施策が変わる
LTVの計算式は、期間・売上か利益か・実績か予測かの3点がツールごとに違い、この記事で読んだ4つの説明では4通りでした。平均購入額5,000円・年3回・2年の作例で、式ごとに動かす変数と、施策を1つの変数に結びつける決め方を整理しました。
読むMAツールを入れて1年。一斉配信は動いているが、入れるときに聞いた「行動に合わせた自動配信」までは届いていない。この形を、私たちは相談の場で繰り返し見ます。一斉配信が動いているなら、土台はできています。
MAツールの導入で多いのは「ある程度」で止まる形で、止めているのはデータと戦略です。調査会社Ascend2の2024年2月の調査(マーケティングの意思決定者387名。回答者の国の内訳は報告書に記載なし)では、自社のMAツールが目標達成に「不成功」と答えたのは3%でした。「ある程度成功」が69%、「非常に成功」が28%です。この3%は回答者の自己評価で、失敗率を測った数字ではありません。同じ調査で、成果を上げるうえで最も難しい点の上位2つは「質の高いデータの収集」52%と「全体戦略の策定」47%で、ツールの操作は項目に入っていません(出典:Ascend2「The State of Marketing Automation 2024」)。
MAツール(マーケティングオートメーション)とは、顧客の行動や属性に合わせて、メール・LINE・プッシュ通知などの配信を自動で出し分けるツールです。シナリオとは、誰に・いつ・何を送るかを決めた配信の流れのことです。
BtoBの資料請求サイトを例にします(作例)。MAツールには資料請求・セミナー申込・メール開封が1人ずつ記録され、動いているのはメルマガと資料請求直後の自動返信の2本です。スコアリングとは、行動に点をつけて見込みの高さを数字にする機能ですが、点数を条件に使う配信はありません。ツールは動いています。止まっているのは、その先です。
図の右の6項目に、ツールの操作そのものは入っていません。Ascend2の2024年2月の調査(387名)では、回答者は従業員50人未満の企業が44%、主なチャネルがBtoCの企業が46%で、国の内訳は報告書に記載がありません。
日本の調査では、感じ方と理由が別々に出ています。SEデザインの2022年6月の調査では、不満の1位が「使い方が難しい」34.7%でした(415名のうちMAツール利用者101名の設問。発行元はHubSpotの導入・活用支援を案内する会社)。Innovation & Co.の2022年10月の調査では、機能を活用していない理由として最初に挙げられたのが「使う理由や場面がなかった」でした(BtoBでMAツールの利用経験がある438名。発行元はMAツールの運用代行サービスを案内する会社。プレスリリースのキーワード欄にList Finder)。「難しい」と感じる手前で、その機能を使う場面が決まっていない ── これが私たちの読み方です。調査が指す場所を、自分の画面で確かめられる形にすると、次の表になります。
| 症状 | 調査が指す場所 | 自分の画面で確かめること |
|---|---|---|
| 設定画面に機能はあるが、使っている配信がない | 使う場面(シナリオ)の不在 ── Innovation & Co. 2022年調査(438名)で活用していない理由として最初に挙げられたもの | 直近1か月に配信が動いたシナリオの本数を数える |
| シナリオは組んだが、条件に使える項目が無い、または古い | 質の高いデータの収集 ── Ascend2 2024年調査(387名)で最も難しい点の1位・52% | シナリオの条件に使っている項目の、最終更新日を見る |
| MAで何を動かすために入れたか、1枚で言えない | 全体戦略の策定 ── Ascend2 2024年調査(387名)で最も難しい点の2位・47% | MAで動かす顧客の流れを書いた紙が、社内にあるか |
症状と確かめることの対応は私たちの整理です。Ascend2の調査は回答者の国の内訳が報告書に無く、Innovation & Co.の調査は日本のBtoBが対象です。
機能を全部使う必要はありません。「資料を請求した人に、3日後に事例を送る」のような1本を決め、条件・文面・タイミングを組んで動かします。1本動くと、「使う理由や場面」がその場でできます。場面が先にあると、覚える操作もその1本に要るものだけに絞られます。
シナリオが1本決まると、要るデータ項目が決まります。上の例なら「資料請求日」と、送る事例を選ぶための「業種」の2つで足ります。点検するのは、その項目が今日も更新されているか、配信の条件に使える細かさか、配信先の1人と結びついているか、の3つです。Ascend2の調査で1位の「質の高いデータの収集」を、私たちはこの3つに読み替えています。
MAツールを入れたあとからでも、決め直せます。1枚に書くのは、「誰が、どの行動をしたら、どの配信で、どこへ進むか」の流れです。Ascend2の調査で2位の「全体戦略の策定」を、私たちはこの1枚に置き換えています。
上の整理の根拠です。原文は末尾の「引用した原文」にまとめました。
要点は「不成功と答えたのは3%で、7割は『ある程度』」です。Ascend2は、2024年2月にマーケティングの意思決定者387名に行った調査の報告書で、次のように書いています。
調査したマーケティング専門職の28%(前年から3ポイント増)は、現在のマーケティングオートメーション戦略が、マーケティング目標の達成を支えるうえでベスト・イン・クラスであると感じている。69%は導入している自動化からある程度の成功を感じており、自動化が不成功だと報告したのはわずか3%である。…
── Ascend2「The State of Marketing Automation 2024」(2024年2月実施・387名)。原文は原文[2](2026年9月16日取得)に置きました。
ベスト・イン・クラスとは、同じ業界の中で最も優れた水準にある、という言い方です。この3%は、回答者が自分で評価した数字です。投資対効果を測った数字ではないので、失敗率とは別のものとして読みます。同じ報告書は、最も難しい点についてこう書いています。
質の高いデータの収集(52%)と全体戦略の策定(47%)が、自動化を使って成果を上げるうえでの最大の課題である。質の高いデータの収集は投資する価値のある課題だ。…
── 同じ報告書の最も難しい点の節(GREATEST CHALLENGES)。原文は原文[3](2026年9月16日取得)に置きました。
要点は「選ぶときに重視した機能が、入れたあとは使われていない」です。Innovation & Co.は、2022年10月21日から25日にインターネット調査を行いました。対象はBtoBビジネスでMAツールの利用経験がある438名です。
MAツール導入検討時における各機能の重要度を質問した結果、ほぼすべての機能において、80%以上が「重要である」(「決め手になった」 / 「必須条件だった」 / 「あれば望ましい条件だった」と回答された)と考えていたことがわかりました。
MAツールの各機能について、ツールに機能が搭載されているにも関わらず、51%以上が「活用していない」と回答しました。
導入後に活用ができていない主な理由は3点。「使う理由や場面がなかった」「リリース不足で使えなかった」「難しくて使えなかった」と回答しました。
── Innovation & Co. プレスリリース「51%以上がマーケティングオートメーションツールを活用できていない〜MAツール活用状況に関する実態調査〜」(2023年1月16日・PR TIMES)。上の3段落は見出しの間の本文をそのまま写しています(原文[4]・2026年9月16日取得)。
最初に挙げられているのは「使う理由や場面がなかった」で、「難しくて使えなかった」は3番目です。理由ごとの割合は、プレスリリースの本文には含まれていません。選ぶときは「重要」で、入れたあとは「使っていない」 ── この差が1つの調査の中に出ています。この記事で引くのは、機能の重要度・活用率・活用していない理由の3点です。
要点は「使いやすさで選んでも、不満の1位は使い方の難しさになる」です。SEデザインは、2022年6月3日から7日に行ったオンライン調査(マーケティング担当者415名)を、自社のブログで公開しています。
導入時の最重要ポイントは「使いやすさ」(61.4%)だが、導入後の最大の不満も「使い方が難しい」(34.7%)
── SEデザイン「MAツール導入で失敗しないために|415人調査で判明した「使いやすさ」重視の理由と年間費用の相場」(マーケティングブログ)。記事冒頭の調査結果のまとめをそのまま写しています(原文[5]・2026年9月16日取得)。
不満の設問の母数は、415名のうちMAツールを利用している101名です。2位は「他のツールと連携できない」22.8%でした。この2位は、データがMAツールに届いていない状態を不満の側から見たものだ、と私たちは読んでいます。
3つを並べると、感じるのは「難しい」(SEデザイン)、使わない理由は「場面がなかった」(Innovation & Co.)、成果を止めているのは「データの質」と「全体戦略」(Ascend2)です。難しさは症状で、場面とデータと戦略が原因 ── これが私たちの読み方です。3つの調査は、記録した範囲では互いを参照していません。
使う場面(シナリオ)が先に決まっていないことと、その場面に要るデータの質が揃っていないことが、調査で挙がる理由と課題です。Innovation & Co.の2022年10月の調査(438名。発行元はMAツールの運用代行サービスを案内する会社。プレスリリースのキーワード欄にList Finder)では、活用していない理由として最初に挙げられたのが「使う理由や場面がなかった」でした。調査会社Ascend2の2024年2月の調査(387名。回答者の国の内訳は報告書に記載なし)では、最も難しい点の1位が「質の高いデータの収集」52%、2位が「全体戦略の策定」47%でした。挙がった6項目に、ツールの操作は入っていません。(出典:Innovation & Co.「MAツール活用状況に関する実態調査」2023年1月公表/Ascend2「The State of Marketing Automation 2024」)
失敗率そのものを測った調査は、この記事で確認した3つの中にはありません。近い数字として、調査会社Ascend2の2024年2月の調査(387名。回答者の国の内訳は報告書に記載なし)では、自社のMAツールが目標達成に「不成功」と答えたのは3%でした。「ある程度成功」が69%、「非常に成功」が28%です。この3%は、回答者が自分で評価した数字です。投資対効果を測った数字ではないので、失敗率とは別のものとして読みます。(出典:Ascend2「The State of Marketing Automation 2024」、2024年2月、387名)
シナリオを1本に絞って動かすことをお勧めします(私たちの進め方です)。「資料を請求した人に、3日後に事例を送る」のような1本を決めます。その1本に要るデータ項目だけを、更新・細かさ・配信先との結びつきの3つで点検します。1本動くと「使う場面」ができ、次に要るデータ項目と、MAで動かす顧客の流れを書く1枚の中身が決まります。
ツール選びより先に、その機能を使う場面が決まっていないことが原因だ、と私たちは読んでいます。SEデザインの2022年6月の調査では、導入時の最重要ポイントが「使いやすさ」61.4%、導入後の不満の1位が「使い方が難しい」34.7%でした(不満の設問はMAツール利用者101名。発行元はHubSpotの導入・活用支援を案内する会社)。場面が先だと、覚える操作も絞られます。(出典:SEデザイン「MAツール導入で失敗しないために」2022年6月調査)
Ascend2の報告書に、回答者の国の内訳は記載がありません。私たちは、別の市場・別の規模の数字として読んでいます。2024年2月の調査(387名)では、回答者は従業員50人未満の企業が44%、主なチャネルがBtoCの企業が46%です。日本の2つの調査と並べた整理は、私たちのものです。(出典:Ascend2「The State of Marketing Automation 2024」報告書の方法の頁)
出典
・Ascend2「The State of Marketing Automation 2024」Survey Summary Report(PDF・14頁)資料を見る ── 2024年2月実施・マーケティングの意思決定者387名/成功の自己評価(非常に成功28%・ある程度成功69%・不成功3%)/最も難しい点(質の高いデータの収集52%・全体戦略の策定47%・予算・リソースの配分41%・効果的な顧客・購買ジャーニーの構築40%・技術・データの統合40%・成功を測るより良い指標の特定37%)/回答者の内訳(従業員50人未満44%・BtoC 46%)。報告書はAscend2とそのリサーチパートナーによる制作で、転載には出典の明記が求められています。2026年9月16日にcurlで取得し、PDFからテキストを抽出[原文]訳の元になった文
本文では日本語だけを載せています。Ascend2の報告書は英語で、訳の元になった原文をそのままここに置きました。本文の「原文[n]」から飛べます。日本語はすべて私たちの訳です。原文に強調は加えていません。途中で切った箇所は「…」で示しています。Innovation & Co.とSEデザインの資料は日本語のため、本文の引用がそのまま原文です。ここには本文で引いた箇所の位置を記しています。
[1]Ascend2 ── 調査の方法と回答者(報告書の方法の頁と、冒頭の謝辞)
N = 387 Marketing Decision-Makers
… We thank the 387 marketing professionals who responded to this survey during the month of February 2024.
Number of Employees / More than 500 23% / 50 to 500 33% / Fewer than 50 44% / Primary Marketing Channel / B2B (Business-to-Business) 21% / B2C (Business-to-Consumer) 46% / B2B and B2C Equally 33%
── Ascend2「The State of Marketing Automation 2024」Survey Summary Report(PDF・14頁/2026年9月16日取得)。回答者の内訳は、報告書の方法の頁に並んだ項目と数値をそのまま写しています
[2]Ascend2 ── 成功の自己評価(「RATING STRATEGIC SUCCESS」の節・3文)
28% (an increase of 3% from last year) of marketing professionals surveyed feel that their current marketing automation strategy is best-in-class in supporting their efforts to achieve marketing objectives. 69% of those surveyed feel they see some success from the automation they have in place, and only 3% report that automation is unsuccessful. There is no debate about whether automation is successful; the only question is the best strategy to implement to make it even more successful.
VERY SUCCESSFUL (BEST-IN-CLASS) 28% / SOMEWHAT SUCCESSFUL 69% / UNSUCCESSFUL 3% ── HOW SUCCESSFUL IS YOUR MARKETING AUTOMATION IN HELPING YOU TO ACHIEVE MARKETING OBJECTIVES?
── Ascend2「The State of Marketing Automation 2024」Survey Summary Report(2026年9月16日取得)。「an increase of 3%」は本文で「3ポイント増」と訳しています。原文の「3%」は前年からの差分(ポイント)と読んでいます
[3]Ascend2 ── 最も難しい点(「GREATEST CHALLENGES」の節・2文と、グラフの項目)
Collecting quality data (52%) and creating an overall strategy (47%) are the top challenges in using automation to improve performance. Collecting quality data is a challenge worth investing in, as it is needed to deliver personalized experiences, enhance segmentations, and advance buying journeys that marketing professionals seek with automation programs.
52% COLLECTING QUALITY DATA / 47% CREATING AN OVERALL STRATEGY / 41% ALLOCATING BUDGET AND RESOURCES / 40% BUILDING EFFECTIVE CUSTOMER/BUYING JOURNEYS / 40% INTEGRATING TECHNOLOGIES/DATA / 37% IDENTIFYING BETTER METRICS TO GAUGE SUCCESS ── WHAT ARE THE MOST CHALLENGING ASPECTS OF USING MARKETING AUTOMATION TO IMPROVE PERFORMANCE?
── Ascend2「The State of Marketing Automation 2024」Survey Summary Report(2026年9月16日取得)。グラフの6項目は、PDFからテキストとして抽出した値とラベルを、値の大きい順に並べ直しています
[4]Innovation & Co. ── 本文で引いた3段落の位置
プレスリリースの「■80%以上がMAツール導入検討時に各機能を重視している」の直下の段落、「■51%以上がMAツールを活用できていない」の直下の2段落。原文は日本語で、本文の引用と同じ文です。調査概要は「調査方法:インターネット調査/調査期間: 2022年10月21日〜 10月25日/有効回答: 438名」
── Innovation & Co. プレスリリース「51%以上がマーケティングオートメーションツールを活用できていない〜MAツール活用状況に関する実態調査〜」(2023年1月16日・PR TIMES/2026年9月16日取得)
[5]SEデザイン ── 本文で引いた1文の位置と、不満の上位2つ
記事冒頭の「主な調査結果は以下のとおりです」の3項目め。原文は日本語で、本文の引用と同じ文です。不満の表「MAツールに対する不満TOP5(N=101)」の上位2つ:使い方が難しい 34.7% / 他のツールと連携できない 22.8%。調査概要は「調査期間 | 2022年6月3日(金)〜6月7日(火)/調査方法 | オンラインリサーチ/サンプル数 | 415人」
── SEデザイン「MAツール導入で失敗しないために|415人調査で判明した「使いやすさ」重視の理由と年間費用の相場」(マーケティングブログ/2026年9月16日取得)
執筆者
永野 陽平
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